当院の美容鍼で顔に電気をかけない理由とは?
上田式美容鍼灸Ⓡ、衣笠仲通鍼灸接骨院院長の加藤宏です。
2000年代に入り、アメリカでマドンナが受けたと報道されたことから現代的な美容鍼灸が始まったと言われています。
それから20年弱、一言で「美容鍼灸」と言っても様々なやり方があります。
鍼灸の施術において、鍼に電気をかける「低周波通電」というやり方があります。
美容鍼においても使われている所もあるようですが、
当院で取り入れている上田式美容鍼灸Ⓡでは低周波通電は使いません。
それは、お顔と身体では筋肉に違いが有るからです。
今回はその理由についてお話します。
お顔の筋肉である「表情筋」の特徴とは?
「皮筋」である
同じ筋肉とはいっても、実は顔と体では種類が異なります。
腕や脚、体幹などの筋肉は「骨格筋」と呼ばれるものです。
骨格筋は関節を超えて骨から始まり骨に終わります。
一方、お顔の筋肉である表情筋は「皮筋」と呼ばれます。
これは、骨から皮膚へと付着しています。
ちなみに、食事の時に噛む動作をする「咀嚼筋」は顎関節をはさんで付着しており、アゴを動かしています。
これは骨から骨へと付着する骨格筋になります。
顔にある筋肉全てが皮筋という訳ではありません。
「拮抗筋」が存在しない
ある運動をする際に筋肉がどのような役割をしているかによって、
〇主働筋(しゅどうきん)
〇拮抗筋(きっこうきん)
〇協働筋(きょうどうきん)
の三つに分類されます。
主働筋とは、ある運動をする際に主に使われる筋肉の事です。
例えば、肘を曲げる時には力こぶをつくる「上腕二頭筋」が主働筋になります。
拮抗筋とは、主働筋の反対側にあり逆の動きをする筋肉です。
肘を曲げる際にはいわゆる「二の腕」と呼ばれる「上腕三頭筋」が拮抗筋です。
協働筋とは主働筋の動きを助けて動く筋肉の事です。
表情筋の特徴の一つに「拮抗筋が無い」という点が挙げられます。
逆向きの動きをする筋肉は存在するのですが、骨格筋の様に関節をはさんで逆の動きをする、というような拮抗筋の存在は有りません。
例えば、「眼輪筋」という筋肉は目を閉じる動作をします。
目の周りを輪のように囲っている筋肉が収縮すると輪が小さくなり、目を閉じる事になります。
これに対して、目を開く筋肉は存在しません。
上の瞼を持ち上げる筋肉は存在しますし、額の筋肉に力を入れるとやはり瞼が持ち上がります。
実際に目を大きく開くように力を入れてみてください。
額にシワが出来、上の瞼は持ちあがるかと思いますが、下の瞼は動きません。
つまり、目が開くのは収縮した眼輪筋が元に戻る事によって起こる動作なのです。
真逆の動きをする筋肉が緊張する事によって反対側にある筋肉の緊張が緩むという動きをする骨格筋と違い、拮抗筋が無い表情筋の場合短縮する動きの方が起こりやすいと言えます。
「筋紡錘」が存在しない
骨格筋には「筋紡錘」という物があります。
これは筋肉の張力を感じ取るセンサーであり、筋肉が引き伸ばされたときにその長さを感じ取り、筋肉を緊張させてそれ以上伸ばされるのを防ぎます。
この反応が無いと筋が伸ばされて痛めてしまう恐れがあります。
表情筋にはこの筋紡錘が存在しません。
その為、状態を感じ取るセンサーが無いため張力のコントロールもされません。
「腱反射」が起こらない
「腱反射」とは、筋紡錘が筋肉の張力をコントロールする事によって起こる反応です。
よく知られているのは座った状態で膝のお皿の下を叩くと脚が伸びる、
「膝蓋腱反射」
があります。
表情筋には筋紡錘が存在せず、腱反射は起こりません。
筋の張力をコントロールできない
骨格筋は筋紡錘が働き緊張の状態をコントロールします。
しかし、表情筋では筋紡錘が無くコントロールがしにくいものであるだけでなく、そもそも表情筋は緊張せず、骨格筋では「筋緊張」、表情筋では「筋短縮」と言います。
表情筋同士がはっきりと分離していない
表情筋は主に22種類、非常に小さい物を含めるともう少し種類が多いと言われています。
腕や脚の筋肉などははっきりと盛り上がっていたりして形がはっきりとわかります。
表情筋の場合、形状は非常に薄い膜のような形をしており、その膜状の筋肉は一つ一つがはっきりと分離せず、お互いにつながっている構造になっています。
その為、動きも多少連動しています。
自分のこめかみのあたりに触れて、そのまま目を閉じてみましょう。
眼輪筋が収縮して目が閉じる時にこめかみの側頭筋が一緒に動くのが感じられます。
「顔面神経」の特徴
表情筋を動かす時には「顔面神経」が働きます。
神経は、普通は「神経束」と呼ばれる組織に覆われ、守られています。
ところが顔面神経には神経束が存在しません。
炎症や絞扼が起こると壊れやすく、非常にもろい神経です。
そして、この顔面神経をやられてしまうと「顔面神経麻痺」という状態になります。
表情筋が動かせなくなり、目や口が閉じないといった状態になってしまいます。
「顔面神経麻痺」に対する治療
『顔面神経麻痺診療の手引き 2011年版』から抜粋すると、
顔面神経麻痺に対する治療には
※ボツリヌス毒素注射(ボトックス)
※リハビリ 個別的筋力強化
※マッサージ
※手術療法
等があります。
そして、
※「低周波通電刺激は禁忌」
となっています。
低周波通電を行う事によって「病的共同運動」を助長するリスクが高まってしまうからです。
「病的共同運動」とは、意図せずに表情筋が動いてしまう状態の事です。
例えば、口を動かそうとすると目が閉じてしまう、といった物が挙げられます。
顔面神経麻痺の後遺症としてみられますが、低周波通電刺激を行う事によりこのリスクが高まるので禁忌になっています。
これは、壊れた神経が回復する時に誤ってつながってしまい、混線する事により起こりますが、顔面神経は神経束を欠くので混線が起こりやすくなっています。
また、表情筋は先述のようにはっきりと分かれていないという特徴があり、低周波通電を行って刺激しても筋肉は大きく動き、細かく分かれて一つ一つの筋肉を動かす事は困難です。
以上の理由から顔面神経麻痺に対して低周波通電を行う事により病的共同運動を誘発するリスクが高まります。
上田式美容鍼灸Ⓡではお顔に低周波通電を行いません
上田式美容鍼灸Ⓡの施術では、顔面神経麻痺の方、またはその既往が有る方に対して低周波通電を行いません。
そして、美容目的でもお顔に対しての低周波通電は行いません。
顔面神経麻痺の有無に関わらず、リスクがあるからです。
また、シワの原因の一つに「筋の短縮」があります。
例えば、眉間のシワは皺眉筋に力を入れてしまう事が原因の一つです。
拮抗筋が存在しない為、反対の動きによって調節されることが無く、筋紡錘を持たないので反射も起こらない表情筋は状態がコントロールされにくいため、むやみに刺激を与えて筋を短縮させてしまうとシワが増えるリスクも高まってしまいます。
安心、安全な美容鍼灸
鍼灸の施術は医療行為である限り、リスクがゼロという事は残念ながらあり得ません。
施術の効果は刺激の種類、刺激を与える時間、そして刺激の量によって決まります。
あまりに刺激が弱すぎれば効果は少なくなりますが、強ければ強いほど効果が高いという事でもありませんし、刺激の量が多すぎればそれだけリスクも高まります。
例えば、美容鍼の目的の一つは傷を付ける事であり、傷が出来るという事は出血や内出血の可能性はゼロにはなりません。
しかし、鍼の本数を少なくする事によりそのリスクを減らす事は可能です。
その為に身体に鍼をして全身の状態を整え、お顔の鍼は解剖学的に診てピンポイントで刺激をする事により、より少ない鍼で結果を出す上田式のやり方ではより安全に施術を行う事が出来ます。
お顔に大量の鍼をせず、表情筋への低周波通電を行わないのは、リスクを減らし安心・安全に施術を行う為の上田式美容鍼灸Ⓡの特徴です。
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